カウンセラーから

 私の好きな番組の一つに「人生の楽園」というのがあります。毎週見ているのですが、中には決して「楽園」とは言えないように思えるものもあります。それでも当の本人たちは喜々として楽しんでいます。要はその方々が好きでやっている、好きだから難儀なことがあっても「楽園」になるというのが本当のところのようです。

 これは、同じ出来事であってもその人によって捉え方や受け止め方が違うということです。実はこうした捉え方や受け止め方の違いは身近にもたくさんあります。例えば、スーパーなどで買い物をしている時、傍に他の人が立っていても気付かない人がいます。あるいは傍に立っている人を、同じように品物を見ているんだろうと単純に片付けてしまう人もいます。でも中には、傍に立っている人から邪魔だと思われているのじゃないかと考える人もいます。さらには、傍に立っている人が、自分のことを邪魔だと睨んでいると思ってしまう人もいます。ここには、自分の傍に人が立っているという出来事を、どう受け止めるかというその人の考え方が反映されています。特に最後のように受け止めることが多い人は、それが積み重なると次第に自分を追い込んでしまうことになります。

 それぞれの考え方や捉え方、あるいは受け止め方は、その人がこれまで培ってきたものですのでなかなか変えることはできません。それでも、それを吐き出す相手や場所があると気持ちも和らぎます。

 私のところに来ている子どもさんたちには、いつも「おしゃべりしよう」「一緒にゲームしよう」「今日は息抜きの時間だよ」などと声を掛けています。こうして一緒に雑談したり、ゲームをしながらおしゃべりをしているといろいろな話題が出てきます。その話題が様々な方向に広がり、世の中にはいろいろな人がいるんだということが分かるにつれて、子どもたちなりに自分の考え方や物事の捉え方、受け止め方への気付きが生まれます。その気付きを通して、知らず知らずのうちにそれらを自分なりに修正するようになります。もちろん、一回の面談でそうなる訳ではありません。時間はかかりますが、一歩一歩そうした方向に向かっているのを感じます。

 そうは言っても、一度落ち込んでしまった気持ちを、外に出て他の人に話そうとしてもなかなか踏ん切りがつかないのも実情だと思います。私どもはそうした子どもたちのためにLINEでの関わりも大事にしています。外に出なくとも私どもと10分でも20分でも気軽にLINEでやり取りする、そしてその回数を重ねていく。LINEであってもこうした経過をたどれば徐々に関係が近くなり、親しさが増します。できれば、その親しみが後押しをして外に出るきっかけとなり、私どものところに足を向けてくれるといいなと思っております。