夏を越えて~カウンセラーより

 今年の夏は、これまで経験したことのないような猛暑続きの毎日でした。特に県内では、各地で観測史上最高の気温となったり、熱帯夜の連続日数がこれまでの記録を更新したりというニュースが連日のように報じられていました。

 とは言え、人の体は自分の置かれた環境に適応していくように造られています。暑くなると汗を流して体温を下げようとしますし、寒いと体を収縮させて熱を体内に閉じ込めようとします。人の持つ能力は素晴らしいものだと感心させられます。ただ、それでも限度というものがあります。暑さの限界を超えると熱中症になります。極度の寒さは低体温症となります。いずれも命に危険な状態です。そんな訳で、私もこの夏は猛暑続きに耐えられず、エアコンの中で静かに過ごしました。

 実は「人の心」もそうです。周りのいろいろな状況(刺激)に反応して、不安になったり、イライラしたりすることがありますが、そうした時にはそれらをうまく調整するホルモンが体内に分泌され、気持ちが嵩ずることのないよう和らげてくれます。刺激が強すぎて許容範囲を超えると、耐えることができなくなるのは暑さ、寒さと同じです。

 さて、夏休みが終わりました。これも一つの刺激です。①夏休み前のことが思い出されて憂鬱になる、②休み中の生活サイクルから抜け出せず気分が落ち込む、③机に縛り付けられるようで気が滅入る、④集団の中に入るのは苦しい…、こんな思いに苛まされている人はいないでしょうか。これらの度合いが強ければ強いほど自分では調整できなくなります。そんな時は猛暑を乗り切るためエアコンを使用したように、涼やかな風にあたることが必要です。

 それでは、エアコンの風のような涼風はどこから吹いてくるのでしょうか。それは自分の気持ちを吐き出す相手を見つけることです。自分の家の人、友達、学校の先生、さらには学校によく来るスクールカウンセラーの先生、こうした身近にいる人に取り敢えず自分のことを打ち明けてみましょう。上手に話せなくともよいです。まずは自分の中にあるもやもやしたものを外に吐き出してみることです。

 中には、身近な人にはどうしても話したくない、その人たちに口火を切るのには抵抗があるという方もいるかと思います。私たちの「ステップひろば」はそんな人たちのためにつくられたものです。

 「スモールステップ」という言葉があります。一歩一歩、歩みは鈍くても歩を進めるという意味です。「ステップひろば」はそうした歩みを支えるための場です。

 苦しいのを我慢するとさらに苦しくなります。もちろん1回話しただけで直ぐ気持ちが楽になるということではありません。それでも、何度か話をしているうちに気持ちがほぐれてくるはずです。よかったら覗きに来てください。外に出るのが大変であれば電話でもLINEでも大丈夫です。そして一緒に歩みを進めましょう。